新しい手法のチャレンジ

最近、質的調査に関する評論や意見を読む中で、従来のグループインタビューや
デプスインタビューを「伝統的な手法」と表現し、まるで化石のように言われている
ものに出くわすことがあります。

で、そういう人は何を「新しい」と言っているのかというと、1グループの設定人数の
ことや会場のこと、レポート形式のこと等、「スタイル」のことを言っているようです。

私はP社の広告評価に関するモデレーターを長年やっていましたが、ディアド(2名の
の対象者 vs インタビュアー)、トライアド(3名の対象者 vs インタビュアー)の
インタビューはすでに7~8年前から実施していたので新しくもなんともないのですが、
いまどきガシガシにスタイルにこだわってグルインなどを行う会社ってあるのでしょうか?
あるとすれば、一部の定性調査の本質を知らない調査会社ですね(笑)

手法のチャレンジということであれば、コンサルや広告代理店は確かにチャレンジャーです。
たとえば、ブランドマッピングなども、常に「もっといい方法はないか」と考えていて、
私が今までの経験から「こんなやり方はいかがですか?」と提案すれば、非常に前向きに
検討し、共に考えてくれます。

また、「インタビューの具体的な進め方や問いかけ方」についても、フロー全体の中で
課題に対する発見や検証が明確化できるよう、「ここを肝に!」と提案する設計を寛大に
認めてくれます。結果、クライアントも面白い!と評価してくれるケースにつながります。

でも、こういうチャレンジングでエキサイティングな調査は、クライアントとの関係にも
よりますね。やはりコンサルや代理店は「ブレーン」です。その点、最近の一部のリサーチ
会社は「手足」なので、「仰せの通り」という対応しかできません。もちろん「手足」も
なくてはならない大事な役割ですが、仕事を「作業」にしてしまいます。

その「作業仕事」の典型がレポートの「データ納品」というヤツ。定性のレポートを
データで納品したって、肝のところのニュアンスは伝わらないでしょ。っていうか、
読み取れないでしょ(笑)それこそ定量データじゃないんだから。

それに「報告会」を設定しないと、当然リサーチ会社のスタッフは同席しないわけで、 何が
アウトプットだったのかということはわからず終い。もちろん、定性リサーチのプレゼンとは
こうやるのか!ということも学ぶことができません。

つまり「形だけ収める」と いう形式主義的なスタイルがデフォルト化され、一部のリサーチ
会社のスタッフの質は劣化するばかりで、結果、業界の劣化も進行していくという構造に
なっているわけで あります。おとろしや~!(笑)